企業TOPインタビュー

1万坪開発からアグリ事業まで。年5%の複利で事業と人を成長させる。

一誠商事株式会社
代表取締役 五十嵐 徹

更新日:2026年10月14日

1975年、茨城県土浦市生まれ。土浦第一高校、法政大学経済学部卒業。大手不動産販売グループにて東京・城南エリアの売買仲介に3年間従事した後、2003年に一誠商事株式会社へ入社。新店舗立ち上げや店長、専務取締役を歴任し、2011年に代表取締役へ就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

この記事でわかること

  • 売買・賃貸・管理を一体で担う一誠商事
  • 1万坪開発も堅実に、年5%の複利成長
  • 管理から売却まで、部門を越えて資産を守る
  • 草刈りを収益化する、不動産発のアグリ事業
  • 部門を越えて、お客さまの最適解を考える働き方

売買から賃貸・管理まで。茨城県南で不動産を一体で手がける。

一誠商事は茨城県南エリアを中心に不動産の「売買・賃貸・管理」を一体で手がけている会社です。1972年に父の五十嵐翼が土浦市で創業し、私は2代目として代表を務めています。

当社の事業は大きく三つの柱に分けられます。一つ目は、分譲地の開発・造成・販売や売買仲介を行う「売買分野」。二つ目は、お部屋探しの仲介とオーナーさまから預かった物件の「賃貸・管理分野」。三つ目は、グループ会社で手がけるリフォームや原状回復、入居時の保証事業です。さらに、自社でビルやマンションを保有し、賃料収入を得る大家業も展開しています。

売買仲介の手数料は取引ごとに生まれる「フロー収入」ですが、家賃や管理料は毎月着実に積み上がる「ストック収入」です。景気が悪くなっても人が住まいを必要とする事実は変わりません。市況に左右されにくい賃貸管理事業があるからこそ、会社として安定した経営を維持できます。

性質の異なる事業を両立させることが、市況変動に対する強力なリスクヘッジになります。その真価が発揮されたのが、バブル崩壊後でした。当時は分譲地を1区画売るたびに1,000万円以上の赤字が出る深刻な状況で、それでも銀行へ返済するために売却を進める必要がありました。

その赤字を支え切ったのが、コツコツと積み上げてきた賃貸管理の継続収入です。結果として銀行に迷惑をかけることなく危機を乗り越えることができました。この強固な基盤があるからこそ、私たちは安心して未来への投資を続けられています。

知名度ゼロからの出発。地主を訪ね歩いた新店舗の立ち上げ。

大学卒業後は大手不動産販売グループの売買仲介会社に入社し、東京の大田区や目黒区といった城南エリアで3年間、不動産取引の経験を積みました。

当初から家業を継ぐと決めていたわけではありませんが、母からの連絡をきっかけに茨城へ戻り、一誠商事に入社しました。役職のない一社員として仕事を始め、そこから新店舗の立ち上げや店長としての店舗運営、専務取締役を経て、入社8年目に父から事業を引き継ぎました。

特に印象に残っているのは、つくばエクスプレス(TX)開通前に挑戦した守谷エリアへの新店舗出店です。当時、土浦やつくばでは知られていた当社も、守谷では全く無名でした。「一誠商事の五十嵐です」と名乗っても、どんな会社か伝わらない状態からのスタートです。

そこで私は一軒一軒地主さまにご挨拶に回り、事業への想いや出店の理由を愚直に伝え続けました。知名度がない場所で一から信頼を築き上げたこの体験が、現在の積極的なエリア拡大を支える大きな自信となっています。

つくばエクスプレスで飛躍。数十億円規模の大型開発へ。

社長就任当時、40億円台だった売上高は134億円へと拡大しました。店舗数は13店舗(東京支店含む)へ増え、社員数も350名超と約2倍に増えています。

この飛躍を後押ししたのが、つくばエクスプレス(TX)の開通です。これに伴い、取り扱う不動産のスケールと領域が拡大しました。かつては個人向けの住宅用地を1区画(約1,500万円)ずつ丁寧に造成・販売するビジネスが中心でしたが、現在は企業向けの工場用地など、1万坪規模の大型開発も手がけています。

こうした産業用地の開発では、たった1件で10億〜20億円規模の売上を生み出すこともあります。動く金額が大きくなった分、プロジェクトのダイナミズムも格段に増しました。

ただし、スケールが大きくなれば、土地仕入れにおけるリスクも高まります。だからこそ、私は単に売上規模の数字だけを追うつもりはありません。リスクマネジメントを徹底し、身の丈に合った堅実な開発を貫くことが、会社と社員を守ることにつながると考えています。

信頼から広がるエリア。ワンストップで「資産」を守るチームへ。

不動産は、お客さまの大切な資産をお預かりする仕事です。誠実にお付き合いを重ねるなかで「別の物件も任せたい」「知人を紹介したい」とご相談いただくことが、私たちの事業拡大の原動力になっています。

水戸市への進出も、県南で取引のあるオーナーさまから「水戸にある物件も一誠商事に管理してほしい」と声をかけていただいたのが始まりでした。

当初は県南からの管理では採算が合わないため、同業他社に一部業務を委託して対応していましたが、管理件数が増え、自社で採算が取れる規模になった段階で店舗を開設しました。お客さまのニーズに応えつつ、事業として確実に利益へつなげるのが私たちの出店スタイルです。

また、真のパートナーとして歩むには、日常の物件管理(賃貸)だけを見ていてはいけません。オーナーさまの相続や資金繰りの状況によっては、持ち続けるよりも「売却」した方が最適な場合もあります。

かつては賃貸部門が空室対策だけに注力し、売却ニーズに気づきながらも他社に流れてしまう苦い経験がありました。現在はその反省を生かし、賃貸と売買の部門の壁を取り払っています。購入後の管理から、将来の売却・組み換えまで、一誠商事という一つのチームでお客さまの資産価値を最大化する提案ができる体制を整えています。

急がず伸ばす経営と、草刈りで収益化した農業への挑戦。

私が目指しているのは、毎年5%の成長を着実に積み重ねていく「複利での成長」です。急激な事業拡大は、社員やその家族、取引先、そしてお客さまに無理な負担を強いることになりかねません。毎年5%ずつ堅実に成長を続けることで、計画的な人材採用や教育、設備や労働環境への投資を無理なく進めることができます。

この「年5%の成長」は、社員一人ひとりの成長目標でもあります。年齢や経験を問わず、毎年5%ずつスキルや知識を伸ばしてほしいと考えています。新入社員にはそれ以上の大飛躍を期待していますが、私自身も経営者として学び続ける姿勢を忘れないようにしています。

また、茨城に根を張る企業として、事業を多角化し「アグリ事業」にも挑戦しています。農業を収益の出る事業に育てることに加え、休職した社員が無理なく職場復帰するための「足がかりの場」にしたいという考えもありました。

ノウハウがないところから社員と一緒に学びながら始め、現在はサツマイモを栽培するほか、ドローンを使った農薬散布や他の農家からの農作業請負にも取り組み、さらなる収益化を目指しています。

不動産事業とのつながりもあります。自社で管理する工場用地や更地の草刈りをアグリ部で担うことで、これまで外注していた仕事を自社の事業に変えました。現在はサツマイモよりも草刈りの売上の方が大きく、アグリ部の黒字化を支えています。

学ぶ力と、自ら動く力。部門を超えてお客さまに寄り添う人と。

不動産は法律や規制が深く関わる仕事です。だからこそ、必要な知識を自ら学び深める力は欠かせません。その土台があった上で、私たちが求めているのは、まだ取引のない地主さまのもとへ自ら足を運び、一から信頼関係を築いていく行動力です。

そして何より大切にしてほしいのは、自分の担当部門の枠にとらわれない視野の広さです。目の前の業務だけで完結させるのではなく、お客さまの背景や本質的な悩みに耳を傾け、他部門と連携しながら最適な選択肢をチームで提示できる方を求めています。

人材を採用する上では、会社側が「選ばれる立場」であると自覚しています。年間休日を120日に増やしたのも、初任給を引き上げたのも、安心して長く働ける環境を整えるための投資の一環です。宅建を持って入社した新卒社員であれば、資格手当を含めて初任給は約30万円になります。そうした環境のなかでプロとしての力を発揮し、共に成長を目指していける方を迎えたいと考えています。

また、東京支店の開設には「首都圏で経験を積み、将来的につくば・茨城へ拠点を移して活躍したい」というUターン・Iターン希望者を歓迎したい想いもありました。培ってきた不動産仲介の経験を活かし、茨城の地域社会に根を張って活躍したい方からの挑戦を楽しみにしています。

編集後記

コンサルタント
佐藤 照昭

今回のインタビューで最も印象的だったのは、五十嵐社長が何度も口にされた「年5%の複利での成長」という言葉でした。

無理な急拡大を追うのではなく、事業・教育・働く環境のすべてを同じ時間軸で愚直に育てていくこと。一見地味に見えるこの数字を積み重ねていくことこそが、会社を揺るぎない存在へと高め、結果として社員やその家族を幸せにできるという経営哲学に深く共感しました。

関連情報

一誠商事株式会社 求人情報

企業TOPインタビュー一覧

ページトップへ戻る